価格改定のお知らせ 例文|値上げをお客様に失礼なく伝える文書とはがきの書き方

原材料費や人件費、配送費の上昇が続き、「そろそろ価格を見直さないと続けられない」と考えているお店や会社は少なくありません。けれども、いざお知らせを書こうとすると「どう書けば角が立たないか」「お客様が離れてしまわないか」と手が止まってしまうものです。

価格改定のお知らせは、ただの事務連絡ではありません。お客様に「これからも続けていきたい」という意思を伝える、大切なお便りです。

この記事では、価格改定を伝える時期と基本の構成、取引先向けの正式な文書と個人のお客様向けのはがきの例文、避けたい表現をまとめました。あわせて、はがきで顧客フォローを続けてきた立場から見た「値上げをしても離れにくいお店の共通点」もお伝えします。

価格改定のお知らせはいつ出す?時期の早見表

価格改定のお知らせは、実施日の1〜3か月前に相手に届くように出すのが基本です。相手が予算を組み直したり、買い置きを検討したりする時間を取ってもらうためです。

ただし、適切な時期は相手と取引の形によって変わります。

相手・取引の形お知らせの目安理由
法人の取引先(継続的な仕入れ・納品)実施日の2〜3か月前先方の予算・見積もり・自社商品の価格に影響するため
定期契約・顧問契約のお客様契約書の通知期限より前(多くは1〜3か月前)契約で通知の期限が決まっている場合があるため
店舗・サロンの個人のお客様実施日の1〜2か月前次回の来店前に知ってもらい、驚かせないため
通販・定期便のお客様次回のお届け・決済の1か月以上前継続するかを考える時間を取ってもらうため
年に数回しか来ないお客様改定後の初回来店前に一度久しぶりの来店で「高くなっている」と驚かせないため

法人の取引先の場合は、お知らせを出す前に、担当者へ口頭やメールで相談しておくのが丁寧です。いきなり文書だけが届くと、先方の担当者は社内で説明する準備ができません。また、2026年1月から下請法が改正され「中小受託取引適正化法(取適法)」となり、受託側から価格の見直しを求められた発注側が、協議に応じずに一方的に代金を決めることが禁止されました。発注側・受託側どちらの立場でも、文書を送るだけで終わらせず、話し合いの場を持つことが以前にも増して大切になっています。具体的な取引への当てはめは、公正取引委員会・中小企業庁の資料や専門家にご確認ください。

価格改定のお知らせの基本構成

価格改定のお知らせは、次の順番で組み立てると、誠実さが伝わり、必要な情報も漏れません。

1. 日頃のお礼:まず感謝から。いきなり値上げの話に入らない
2. 改定の理由:何が、どのくらい上がったのか。具体的かつ簡潔に
3. これまでの努力:据え置くためにしてきた工夫
4. 改定の内容:対象の商品・サービス、新旧の価格、実施日
5. 今後の約束:品質やサービスを守る姿勢
6. お願いと結び:ご理解のお願い、問い合わせ先

取引先向けの正式な文書では、4の改定内容を本文から切り離し、「記」以下に箇条書きでまとめるのが一般的です。対象・改定率(または新価格)・実施日が一目でわかるようにしておくと、先方が社内で回覧するときにも助かります。

「値上げ」ではなく「価格改定」と書く理由

文書のタイトルや本文では「値上げのお知らせ」より「価格改定のお知らせ」と書くのが一般的です。言葉を濁すためではなく、「価格を見直した結果のご報告」という落ち着いたトーンにするためです。

ただし、本文の中で何が変わるのかをぼかしてはいけません。「価格を改定いたします」だけで、上がるのか下がるのか、いくらになるのかがわからない文面は、かえって不信感を招きます。タイトルは穏やかに、中身ははっきりとが基本です。

意外と知られていない「謝りすぎない」ほうがいい理由

値上げのお知らせというと、「誠に申し訳ございません」を何度も重ねてしまいがちです。けれども、謝罪の言葉を重ねすぎると、読む側は「何か悪いことが起きたのか」「無理をしていて品質が落ちるのでは」と、かえって不安になります。

お詫びの言葉は1回で十分です。そのぶん、これまでの感謝と、これからも品質を守るという約束に言葉を使いましょう。価格改定は、お客様に価値あるものを届け続けるための判断であって、謝るべき不手際ではありません。

【取引先向け】価格改定のお知らせ 例文(正式な文書)

法人の取引先には、会社名・代表者名を入れた正式な文書で送ります。「〇〇」の部分を書き換えてお使いください。

原材料費の高騰による価格改定

拝啓 晩秋の候 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます
平素は格別のお引き立てを賜り 厚く御礼申し上げます
さて 弊社では昨今の原材料価格の高騰を受け これまで製造工程の見直しや経費の削減に努め 価格の維持に取り組んでまいりました
しかしながら 企業努力のみで吸収することが難しい状況となり 誠に不本意ではございますが 下記のとおり価格を改定させていただくこととなりました
今後とも品質の維持とサービスの向上に一層努めてまいりますので 何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます
敬具
記
対象製品:〇〇シリーズ全品
改定内容:現行価格より〇%の改定(別紙価格表のとおり)
実施日:〇年〇月〇日ご注文分より
以上

人件費・物流費の上昇による価格改定(サービス業)

拝啓 初冬の候 貴社におかれましてはますますご隆盛のこととお慶び申し上げます
日頃より弊社サービスをご利用いただき 誠にありがとうございます
弊社では〇年より現行の料金を据え置いてまいりましたが 人件費や物流費の上昇が続き 現在の品質を保つことが難しくなってまいりました
つきましては 〇年〇月〇日より 下記のとおりご利用料金を改定させていただきたく お願い申し上げます
担当者よりあらためてご説明にうかがいますので ご不明な点はご遠慮なくお申し付けください
敬具

「担当者よりあらためてご説明にうかがいます」の一文は、文書だけで済ませないという姿勢を示します。取引先にとっては、相談の窓口があることが何よりの安心材料です。

【個人のお客様向け】価格改定のお知らせ はがき例文

個人のお客様には、取引先向けの硬い文書よりも、お店の人の顔が見える、やわらかい文面が向いています。はがきなら、封書のように開封の手間がなく、一目で読んでいただけます。

美容室・サロン

〇〇様
いつも〇〇をご利用いただき、本当にありがとうございます。
開店以来、できるだけ価格を変えずにやってまいりましたが、薬剤や光熱費の値上がりが続き、〇月〇日のご予約分より、一部メニューの料金を見直すことになりました。
新しい料金は店内とホームページでご案内しております。
これからも〇〇様に「来てよかった」と思っていただける時間をお届けできるよう、スタッフ一同努めてまいります。

サロンでのはがき活用全般は、美容室・サロンのはがき活用ガイドにまとめています。

飲食店

〇〇様
いつもご来店いただき、ありがとうございます。
お米や野菜、油などの仕入れ値が上がり続け、〇月〇日より、一部のお料理の価格を改めることにいたしました。
量や味はこれまでどおり、変えずにお出しいたします。
定食の〇〇は価格を据え置きますので、ぜひまたお気軽にお越しください。

「量や味は変えない」「この品は据え置く」と書くと、お客様は安心して次の来店を考えられます。値上げしない品があれば、ぜひ一言添えてください。

整体院・治療院・教室など継続して通うお客様

〇〇様
いつも通ってくださり、ありがとうございます。
〇年の開院以来、料金を据え置いてまいりましたが、〇月より施術料を〇〇円から〇〇円に改めさせていただきます。
回数券は、〇月末までにお求めいただいた分は現在の料金のままお使いいただけます。
これからも、〇〇様の毎日が少しでも楽になるよう、一回一回を大切にしてまいります。

回数券や前払いの仕組みがある場合は、改定前に購入したものはどう扱うかを必ず書きましょう。ここが曖昧だと、お問い合わせが集中します。

通販・定期便のお客様

〇〇様
いつも〇〇をご愛用いただき、心より御礼申し上げます。
原料と配送費の値上がりを受け、〇月〇日のお届け分より、定期便の価格を〇〇円(税込)に改定させていただくことになりました。
品質と内容量は変わりません。
お届け周期の変更や休止はいつでも承りますので、お気軽にご連絡ください。

定期便では、休止や解約の方法を一緒に書いておくのが誠実です。「やめ方がわからない」と感じさせることのほうが、値上げそのものよりも信頼を損ないます。

士業・顧問契約のお客様

〇〇様
平素より大変お世話になっております。
〇年の開業以来、顧問料を据え置いてまいりましたが、業務量の増加と人件費の上昇により、〇年〇月分より顧問料を改定させていただきたく存じます。
詳しくは、次回の面談の際にあらためてご説明させていただきます。
今後とも、〇〇様の事業の身近な相談相手でいられるよう努めてまいります。

顧問契約は契約書に料金改定の手続きが定められていることが多いので、まず契約内容を確認しましょう。士業のはがき活用は士業のはがき活用ガイドもご覧ください。

久しぶりのお客様へ(改定のお知らせを兼ねたご挨拶)

〇〇様
ご無沙汰しております。お元気でお過ごしでしょうか。
〇〇では、〇月より一部メニューの料金を見直すことになりました。
久しぶりにお越しいただいたときに驚かせてしまわないよう、先にお知らせさせていただきます。
〇〇様のお顔をまた拝見できる日を、スタッフ一同楽しみにしております。

しばらく来ていないお客様に、価格改定だけを知らせるのは気が引けるかもしれません。けれども「驚かせないよう先にお知らせ」という理由は、久しぶりに連絡する自然なきっかけにもなります。久しぶりのお客様への便りの考え方は、休眠顧客の掘り起こしは「はがき」からで詳しくご紹介しています。

避けたい表現と、言い換えのコツ

価格改定のお知らせでよく見かける表現の中には、意図せず相手を不快にさせるものがあります。

避けたい表現気になる点言い換えの例
「ご了承ください」一方的に通告している印象「ご理解を賜りますようお願い申し上げます」
「やむを得ず値上げいたします」の連発言い訳がましく聞こえる理由を一度だけ具体的に書く
「誠に申し訳ございません」の繰り返し不安をあおるお詫びは1回、あとは感謝と約束に
「諸般の事情により」理由を隠している印象「原材料や光熱費の値上がりにより」
「価格を改定します」のみ何がいくらになるのか不明新旧の価格・改定率・実施日を明記
「他社も値上げしていますので」責任転嫁に聞こえる自社の事情と努力を自分の言葉で

特に注意したいのが「諸般の事情により」です。便利な言葉ですが、読む側には「言えない理由があるのか」と受け取られかねません。原材料、光熱費、人件費、配送費など、理由は具体的に、ただし長々と書かないのがちょうどよい加減です。

プロの視点:値上げをしても離れにくいお店の共通点

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいことです。

はがきで顧客フォローを続けてきたお店を見ていると、同じように価格を改定しても、お客様が離れにくいお店と、ぱたりと来なくなってしまうお店があります。その差は、お知らせの文面の上手下手よりも、それまでの日頃の接点にあることが多いのです。

日頃から季節のご挨拶やお礼状を送っているお店にとって、価格改定のお知らせは「いつものお便りの中の一通」です。お客様は、お店の人の顔や、これまでのやり取りを思い浮かべながら読んでくださいます。

反対に、ふだんは何の連絡もないお店から、いきなり値上げの通知だけが届いたらどうでしょう。お客様にとっては「久しぶりの連絡が値上げの話」です。そのお店との関係を見直すきっかけになってしまっても不思議ではありません。

人は不満があって離れるより、忘れて離れることのほうがずっと多いものです。価格の見直しを考え始めたら、お知らせの数か月前から季節のご挨拶を再開する、来てくださった方にお礼状を送るなど、お知らせの前に接点を温め直しておくことをおすすめします。

時期送るお便りねらい
改定の3〜6か月前季節のご挨拶・お礼状日頃の接点をつくり直す
改定の1〜2か月前価格改定のお知らせ驚かせず、考える時間を取ってもらう
改定後の初回来店・ご注文の後お礼のはがき「新しい価格でも選んでくれた」ことへの感謝
以降は季節ごと季節のご挨拶・誕生日いつものお付き合いに戻る

改定後の「お礼のはがき」が効く理由

意外と見落とされがちなのが、改定後に来てくださったお客様へのお礼です。新しい価格を知ったうえで、それでも選んでくださったお客様は、お店にとって本当にありがたい存在です。

〇〇様
先日はご来店いただき、ありがとうございました。
料金を改めてから最初のご来店で、正直なところ少し緊張しておりました。
変わらずお越しいただけたこと、本当にうれしく思っています。
これからも、その気持ちにお応えできるよう励んでまいります。

〇〇様
このたびは、改定後も変わらずご注文をいただき、誠にありがとうございました。
皆様に支えていただいていることを、あらためて実感しております。
いただいたご信頼に恥じないよう、品質を守ってまいります。

こうした一通は、売り込みではなく純粋なお礼です。だからこそ、値上げで少し揺らいだお客様の気持ちを、もう一度お店のほうへ向けてくれます。お礼状の書き方はお客様へのお礼状はがき 文例集やサンキューレターの書き方も参考にしてください。お礼の気持ちをまっすぐ伝えるなら、感謝・彩むすび書のように言葉そのものが柄になったポストカードを使うと、短い文面でも気持ちが伝わります。

はがきで送るときの準備と注意点

取引先には文書、個人のお客様にははがき

法人の取引先への正式な価格改定の通知は、社名・代表者名入りの文書を封書で送り、記録として残るようにするのが基本です。そのうえで、担当者個人にはがきで一言添えると、文書の硬さをやわらげられます。

〇〇様
先日お送りした価格改定の件では、ご面倒をおかけいたします。
長年のお取引に甘えることのないよう、これまで以上にお役に立てるよう努めてまいります。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

個人のお客様には、はがき1枚で完結させて構いません。新しい料金表を全部載せる必要はなく、主な変更点と実施日を書き、詳しくは店頭やホームページで、と案内すれば十分です。

手書きの一言を添える

印刷した文面でも、余白に手書きで一言添えるだけで、印象は大きく変わります。

  • 「いつも〇〇を楽しみにしてくださり、ありがとうございます」
  • 「〇〇様のご意見を伺えたらうれしいです」
  • 「次回のご来店をお待ちしております」

長く書く必要はありません。手書きの一言の考え方は、なぜ手書きはがきのメッセージは「30文字」なのかでもご紹介しています。

書き出しと宛名

正式な文書の時候の挨拶は、送る月に合わせて選びます。10月なら10月の時候の挨拶、11月なら11月の時候の挨拶の言葉がそのまま使えます。宛名の敬称の使い分けは宛名の書き方 ビジネス編をご覧ください。

枚数と費用の目安

お知らせ、改定後のお礼、その後の季節のご挨拶まで考えると、はがきは思った以上に使います。はがきDoのポストカードは同じ柄100枚単位の販売で、100枚3,960円(1枚39.6円)、300枚8,250円(1枚27.5円)、500枚10,450円(1枚20.9円)と、まとめるほど1枚あたりの単価が下がります。違う柄を組み合わせても合計枚数で単価が決まりますので、お知らせ用の落ち着いた柄とお礼状用の柄を組み合わせて揃えておくと便利です。詳しくはまとめ買いの料金をご覧ください。

ポストカードは通常はがきと同じく85円の切手で送れます(2024年10月からの料金です)。宛名面の差出人欄に店名・住所・電話番号・ホームページを印刷しておくと、問い合わせ先を本文に書く必要がなくなり、文面に余裕が生まれます。差出人のデザインは宛名面の差出人デザイン作成・プリント代行(1枚30円)でもお受けしています。

価格改定のお知らせ・改定後のお礼状におすすめの柄

価格改定のお知らせには、華やかすぎず、誠実さが伝わる落ち着いた柄が向いています。改定後のお礼には、感謝の気持ちがそのまま伝わる柄がよく合います。

書の柄なら、ありがとう・彩むすび書やご縁に感謝・彩むすび書は、「これからもお付き合いをお願いします」という気持ちを、言葉そのものが伝えてくれます。業種を選ばずに使うなら、季節を問わない草原と青空のような風景の柄も、お知らせの文面を穏やかに見せてくれます。

お礼状向けのポストカードを見る

よくある質問

価格改定のお知らせは、実施日のどのくらい前に出せばよいですか?
個人のお客様には実施日の1〜2か月前、法人の取引先には2〜3か月前が目安です。定期契約や顧問契約の場合は、契約書に通知の期限が定められていないかを先に確認しましょう。
値上げの理由はどこまで具体的に書くべきですか?
「原材料や光熱費の値上がりにより」のように、何が上がったのかがわかる程度に書くのがよいでしょう。「諸般の事情により」だけでは理由を隠している印象を与えます。一方で、細かい数字を長々と並べる必要はありません。
価格改定のお知らせをはがきで送っても失礼になりませんか?
個人のお客様には、はがきで十分丁寧です。法人の取引先には、記録に残る正式な文書を送ったうえで、担当者にはがきで一言添えると、硬さがやわらぎ誠実な印象になります。
お詫びの言葉は入れたほうがよいですか?
入れるなら1回で十分です。謝罪を重ねると、かえって「品質が落ちるのでは」と不安を与えることがあります。お詫びよりも、これまでの感謝と、品質やサービスを守る約束に言葉を使いましょう。
値上げの後、お客様が離れないためにできることはありますか?
必ず離れないと言える方法はありませんが、日頃から季節のご挨拶やお礼状で接点を持っておくこと、改定後に来てくださったお客様へお礼のはがきを送ることは、関係を保つ助けになります。

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