開業・開店の挨拶状 例文|はがきで送る書き方と時期、開業後に続けるお便り

独立や開店の準備は、内装、許認可、仕入れ、ホームページと、やることが山のようにあります。その中で「挨拶状はどう書けばいいのか」「いつ出せばいいのか」と手が止まってしまう方は少なくありません。

開業の挨拶状は、お世話になった方への報告であり、これからのお付き合いのお願いでもあります。そして、はがきで営業や顧客フォローを続けてきた立場から言えば、あなたのお店や事務所が最初に出す「一通目のお便り」でもあります。

この記事では、開業・開店の挨拶状を送る時期と基本の書き方、相手別・業種別にそのまま使える例文をまとめました。あわせて、挨拶状を一度きりで終わらせず、開業後3か月までのお便りにつなげる考え方もご紹介します。

開業・開店の挨拶状はいつ送る?時期の早見表

開業の挨拶状は、開業日の2週間〜1か月前に相手に届くように送るのが基本です。開業日を知ってもらい、予定を空けたり、お祝いを手配したりする時間を相手に取ってもらうためです。

ただし、相手との関係によって最適な時期は少しずつ違います。

送る相手届けたい時期ねらい
取引先・仕入れ先(法人設立・独立)開業の1か月前口座開設や契約の切り替えなど、先方の手続きに時間がかかるため
前職の上司・同僚・恩師開業の2週間〜1か月前報告とお礼。独立を決めた時点で口頭で伝えておくとより丁寧
親族・友人・知人開業の2週間前開業日に来てもらう、応援してもらうため
近隣のお店・ご近所開業の1〜2週間前工事や開店日の人出へのお詫びとご挨拶を兼ねて
開業後に来てくださったお客様来店から1週間以内「来てくださってありがとう」のお礼。挨拶状ではなくお礼状として

開業日がはっきり決まらないうちは、無理に先に出す必要はありません。日付が変わると訂正の連絡が必要になり、かえって相手に手間をかけてしまいます。開業日が確定してから、できるだけ早くが現実的な目安です。

開業後になってしまった場合も、遅れたからと出さないより、「ご挨拶が遅くなりましたが」と一言添えて出すほうがずっと丁寧です。

開業挨拶状の基本構成

開業の挨拶状は、次の順番で組み立てると、形式を守りながらも気持ちの伝わる文面になります。

1. 頭語:拝啓(より改まる場合は謹啓)
2. 時候の挨拶:「霜降の候」「早春の候」など、季節の言葉
3. 相手の繁栄・健康を喜ぶ言葉:「ますますご清祥のこととお慶び申し上げます」
4. これまでのお礼:前職や準備期間中にお世話になったことへの感謝
5. 開業の報告:いつ、どこで、何を始めるのか
6. 抱負と今後のお願い:どんな姿勢で取り組むか、引き続きのご支援のお願い
7. 結びの挨拶と結語:「略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます」+敬具
8. 日付・開業情報:開業日、屋号・事務所名、住所、電話番号、営業時間、地図など

時候の挨拶は送る月によって変わります。10月・11月に送る場合は、10月の時候の挨拶や11月の時候の挨拶の言葉をそのまま使えます。

意外と知られていない「句読点を打たない」慣習

印刷する正式な挨拶状では、本文に句読点(、。)を打たないのが昔ながらの慣習です。句読点は読む人を助けるためのものなので、改まった挨拶状に付けると「読む力を疑うようで失礼」とされてきたこと、また慶事の挨拶では「区切り=終わり」を連想させないため、と言われています。

もっとも、今では句読点付きの挨拶状も一般的で、付けたからといって失礼になることはまずありません。取引先や目上の方には句読点を省いた改まった文面、お客様や友人には句読点付きの読みやすい文面、と相手によって使い分けるのがおすすめです。この記事の例文も、正式な挨拶状の例は句読点なし、お客様向けは句読点ありで書いています。

はがきで送るときは「開業情報」を宛名面か本文の下にまとめる

はがきは書けるスペースが限られます。本文に住所や営業時間まで書き込むと、肝心の挨拶が窮屈になってしまいます。

屋号・住所・電話番号・営業時間・地図などの開業情報は、宛名面の差出人欄か本文の下部にまとめて印刷し、本文は挨拶とお礼に絞ると読みやすくなります。宛名面の差出人デザインは、宛名面の差出人デザイン作成・プリント代行(1枚30円)でお任せいただくこともできます。

【そのまま使える】開業・開店の挨拶状 例文

ここからは、相手別・業種別の例文です。「〇〇」の部分を書き換えてお使いください。

独立開業の報告(前職の上司・取引先へ/正式)

拝啓 霜降の候 皆様にはますますご清祥のこととお慶び申し上げます
さて私こと
このたび〇年間勤めました株式会社〇〇を退職し 〇月〇日に〇〇(屋号)を開業する運びとなりました
在職中は公私にわたり格別のご指導を賜り 心より御礼申し上げます
これまでの経験を生かし お客様に信頼していただける仕事を誠実に積み重ねてまいる所存です
今後とも変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますよう お願い申し上げます
まずは略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます
敬具

会社設立のご挨拶(取引先へ/正式)

謹啓 晩秋の候 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます
平素は格別のご高配を賜り 厚く御礼申し上げます
さてこのたび私どもは 〇〇を事業とする株式会社〇〇を設立し 〇月〇日より営業を開始する運びとなりました
これもひとえに皆様のご支援の賜物と 深く感謝申し上げます
微力ではございますが 社員一同 皆様のお役に立てるよう精励する所存です
何卒倍旧のご支援を賜りますよう お願い申し上げます
謹白

「謹啓」で始めたら「謹白」または「謹言」で結ぶのが決まりです。「拝啓」なら「敬具」。頭語と結語の組み合わせは間違えやすいので、印刷前にもう一度確認しましょう。

税理士・行政書士など士業の事務所開設

拝啓 初冬の候 ますますご清祥のこととお慶び申し上げます
さてこのたび〇〇税理士事務所を開設し 〇月〇日より業務を開始いたしました
〇〇年にわたり〇〇事務所で培った経験をもとに 地域の皆様の身近な相談相手となれるよう努めてまいります
記帳や申告のことはもちろん 小さなお困りごとでもお気軽にご相談ください
今後ともよろしくお願い申し上げます
敬具

士業の場合、開業の挨拶状がそのまま「最初のご案内」になります。開業後の季節のお便りや顧問先へのフォローについては、士業のはがき活用ガイドにまとめています。

飲食店の開店(知人・ご近所へ)

〇〇様
朝夕の冷え込みが感じられる季節となりました。お元気でお過ごしでしょうか。
このたび、〇〇町に小さな和食のお店「〇〇」を開くことになりました。
〇月〇日(〇)の開店です。旬の食材を使ったお料理を、気取らずに楽しんでいただけるお店を目指しています。
お近くにお越しの際は、ぜひお気軽にお立ち寄りください。
お会いできるのを楽しみにしております。

飲食店のはがき活用は、飲食店のはがき活用ガイドもあわせてご覧ください。

美容室・サロンの開業(前職でご縁のあったお客様へ)

〇〇様
いつも温かいお声をかけていただき、ありがとうございます。
このたび独立し、〇月〇日に〇〇駅の近くで小さなサロン「〇〇」を始めることになりました。
〇〇様に教えていただいたことが、これからのお店づくりの支えになっています。
落ち着いたら、ぜひ一度お顔を見せていただけたらうれしいです。

前職でご縁のあったお客様に送る場合は、退職時の取り決めがないか、前の職場との関係を損なわないかを確認したうえで、「来てください」より「ご報告とお礼」を主役にすると角が立ちません。サロンでのはがき活用は美容室・サロンのはがき活用ガイドにまとめています。

クリニック・歯科医院の開院

拝啓 向寒の候 皆様にはますますご健勝のこととお慶び申し上げます
さてこのたび〇〇市〇〇町に〇〇クリニックを開院する運びとなりました
開院日は〇月〇日です
これまで〇〇病院で学んだことを礎に 地域の皆様に安心して通っていただける医院を目指してまいります
今後ともご指導ご鞭撻のほど よろしくお願い申し上げます
敬具

医療機関の挨拶状では、「最新の」「地域一番の」といった誇張した表現は避け、診療科目や診療時間などの事実を落ち着いて伝えるのが安心です。診療内容の書き方は、医療広告のルールに沿っているか確認しておきましょう。歯科医院での活用は歯科医院のはがき活用ガイドもご覧ください。

ご近所・近隣のお店へのご挨拶

〇〇様
突然のお便り失礼いたします。
このたび〇〇の〇階に、〇〇(業種)の「〇〇」を開店することになりました。
内装工事の間は、音やお車の出入りでご迷惑をおかけし、申し訳ございませんでした。
〇月〇日に開店いたします。これから同じ通りの一員として、どうぞよろしくお願いいたします。

ご近所への挨拶は、はがきを持って直接うかがい、手渡しするのもよい方法です。手渡しでも、形に残る一枚があると名前と店名を覚えてもらいやすくなります。

開業祝いをいただいた方へのお礼状

開業の前後には、お花やお祝いの品をいただくことがあります。お礼状はいただいてから1週間以内を目安に出しましょう。開業直後は慌ただしいので、あらかじめはがきを用意しておくと、すぐに書けます。

〇〇様
このたびは開業に際し、立派なお祝いのお花をお贈りいただき、誠にありがとうございました。
入口に飾らせていただいたところ、来てくださったお客様からも「きれいですね」とお声がけいただいております。
皆様のお気持ちに応えられるよう、一日一日を大切に励んでまいります。
落ち着きましたら、改めてご挨拶にうかがいます。

〇〇様
先日はお忙しい中、開店初日に足を運んでくださり、本当にありがとうございました。
そのうえ心のこもったお祝いまでいただき、恐縮しております。
〇〇様の笑顔に、緊張がすっとほどけました。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

「お花がどこに飾られているか」「お客様がどう言っていたか」を一言添えると、贈った側はその様子が目に浮かび、とても喜ばれます。お礼状の基本はお客様へのお礼状はがき 文例集でも詳しくご紹介しています。

プロの視点:挨拶状は「1通目」。開業後3か月のお便りまで設計する

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいことです。

開業の挨拶状は、多くの方が「出したら終わり」の行事として扱います。けれども、はがきで顧客フォローを続けてきた経験から言うと、開業でいちばん大切なのは、挨拶状を出した後の3か月間です。

開店直後は、知人やご近所、オープンのチラシを見た方が、ご祝儀のように来てくださいます。ところが1〜2か月たつと、その「開店の熱」は自然に冷めていきます。お客様は不満があったわけではなく、ただ忘れていくのです。2回目、3回目の来店につながるかどうかは、この時期にもう一度思い出してもらえるかにかかっています。

開業の挨拶状を準備するときに、次のお便りまで一緒に決めておきましょう。

時期送るお便りねらい
開業の2週間〜1か月前開業の挨拶状開業を知ってもらう
来店・ご依頼から1週間以内初回のお礼状「来てよかった」を確かなものにする
開業1か月後開業1か月のご報告とお礼開店の熱が冷める前に、もう一度思い出してもらう
開業3か月後近況のお便り・季節の挨拶2回目・3回目の来店のきっかけをつくる
以降は季節ごと季節のご挨拶・誕生日「忘れて離れる」を防ぐ

挨拶状を出す時点で、住所録はすでにでき上がっています。この名簿を一回きりで使い終えるのは、もったいないことです。開業の挨拶状は、これから続くお便りの「1通目」と考えてください。

開業1か月後のお便り(お客様へ)

〇〇様
〇〇を開店して、早いもので1か月がたちました。
先日はご来店いただき、本当にありがとうございました。
おかげさまで、少しずつ顔なじみのお客様が増え、毎日うれしい気持ちで店に立っております。
まだまだ至らない点もあるかと思いますが、気づいたことがあれば、ぜひ教えてください。
またお会いできるのを楽しみにしております。

開業3か月後のお便り(季節の挨拶を兼ねて)

〇〇様
寒さが日ごとに増してまいりましたが、お変わりなくお過ごしでしょうか。
おかげさまで〇〇も開業から3か月を迎えました。
〇〇様をはじめ、足を運んでくださった皆様のおかげと、心より感謝しております。
冬の間は〇〇もご用意しております。お近くにお越しの際は、お気軽にお立ち寄りください。

開業1か月後のお便り(士業・法人の取引先へ)

〇〇様
先日は開業に際し、温かいお言葉をいただきありがとうございました。
事務所を構えて1か月、ようやく日々の仕事のリズムがつかめてまいりました。
〇〇様からいただいたご縁を大切に、一件一件丁寧に取り組んでおります。
お困りごとがございましたら、いつでもお気軽にお声がけください。

どのお便りも、売り込みの言葉は入れていません。「開業して〇か月」というのは、それだけで自然に連絡できる、開業した人にしか使えない理由です。この理由を使わない手はありません。

開業後の季節のお便りには、年4回の季節のご挨拶はがき用・文章テンプレート集の文面もそのまま使えます。手書きで一言添えるなら、なぜ手書きはがきのメッセージは「30文字」なのかも参考にしてください。

はがきで送るときの準備と注意点

枚数は「挨拶状+3か月分」で考える

挨拶状を出す相手が80人なら、はがきも80枚あれば足りるように思えます。しかし、お祝いのお礼状、来店してくださったお客様へのお礼、1か月後・3か月後のお便りまで考えると、開業後の数か月で挨拶状の数倍の枚数を使うことになります。

はがきDoのポストカードは同じ柄100枚単位の販売で、100枚3,960円(1枚39.6円)、300枚なら8,250円(1枚27.5円)と、まとめるほど1枚あたりの単価が下がります。違う柄を組み合わせても合計枚数で単価が決まりますので、挨拶状用の柄とお礼状用の柄を組み合わせて揃えておくと便利です。詳しくはまとめ買いの料金をご覧ください。ご注文から2営業日以内に発送しますので、開業準備の合間でも間に合わせやすいはずです。

宛名・差出人は早めに準備する

宛名の敬称は、会社宛なら「御中」、個人宛なら「様」が基本です。取引先の担当者宛の書き方などは宛名の書き方 ビジネス編で詳しく解説しています。

差出人欄には、屋号・住所・電話番号に加えて、開業日・営業時間・地図やホームページのQRコードを入れておくと、挨拶状がそのまま「お店の案内」になります。

切手と投函日

ポストカードは通常はがきと同じく85円の切手で送れます(2024年10月からの料金です)。開業日から逆算し、相手に届くまでの日数に余裕を見て投函しましょう。慶事の挨拶なので、切手は慶事用や季節の記念切手を選ぶと、ひと手間かけた印象になります。

開業・開店の挨拶状におすすめの柄

開業の挨拶状には、新しい門出を感じさせる明るい柄や、「ご縁」への感謝が伝わる柄がよく合います。

書の柄なら、一期一会・彩結び書は「これからのご縁を大切にします」という気持ちを、言葉そのものが伝えてくれます。開業祝いのお礼や、開業1か月後のお便りにはご縁に感謝・彩むすび書がぴったりです。季節を問わず使える草原と青空は、まっさらな空が新しいスタートを感じさせる、業種を選ばない柄です。春の開業なら桜の木と青空のような桜の柄もおすすめです。

お礼状向けのポストカードを見る

よくある質問

開業の挨拶状はいつまでに送ればよいですか?
開業日の2週間〜1か月前に相手に届くように送るのが基本です。取引先など手続きが必要な相手には1か月前を目安に。開業日が過ぎてしまった場合も、「ご挨拶が遅くなりましたが」と一言添えて出せば失礼にはなりません。
開業の挨拶状ははがきでも失礼になりませんか?
失礼にはなりません。開業や開店の挨拶状は、はがきで送るのが一般的です。特に改まった相手には、頭語・結語を入れた正式な文面にし、句読点を省くとより丁寧な印象になります。
開業祝いのお礼状はいつ出せばよいですか?
お祝いをいただいてから1週間以内が目安です。いただいたお花をどこに飾っているか、お客様の反応など、具体的な様子を一言添えると、贈った方にとても喜ばれます。
開業後、挨拶状の次は何を送ればよいですか?
来店やご依頼のあったお客様には1週間以内にお礼状を、開業1か月後と3か月後には近況を伝えるお便りを送るのがおすすめです。「開業して〇か月」は自然に連絡できる理由になり、開店の熱が冷める時期にもう一度思い出していただくきっかけになります。

お礼状におすすめの柄

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