お客様にご迷惑をおかけしてしまったとき、まず電話やメールでお詫びをしても、「これで本当に気持ちは伝わっただろうか」と不安が残るものです。かといって、改めて書面を書こうとすると、どこまで事情を説明すればよいのか、何を書けば言い訳に聞こえないのか、手が止まってしまいます。
お詫び状は、上手な文章を書くことよりも、早く、短く、具体的に書くことが大切です。
この記事では、お客様へのお詫び状の基本の構成と出す時期、発送ミス・納期遅れ・接客の不手際などの場面別の例文、封書とはがきの使い分けをまとめました。あわせて、はがきで顧客フォローを続けてきた立場から、「お詫びが済んだあとに届ける一枚」についてもお伝えします。
お詫び状はいつ出す?電話・メール・書面の順番
お詫びでいちばん大切なのはスピードです。時間が経つほど、お客様の不満は「ミスそのもの」から「対応の遅さ」へと移っていきます。
基本の順番は、まず電話(または対面)、次に書面です。書面だけを先に送ると、「直接話したくないのか」と受け取られることがあります。一方、電話だけで終わらせると、お客様の手元に何も残らず、謝罪の内容や今後の対応があいまいになりがちです。
| 状況 | 最初の連絡 | 書面を届ける目安 | 書面の形 |
|---|---|---|---|
| 発送ミス・商品の不備(個人のお客様) | 気づいた当日に電話・メール | 代替品と同時か、1〜3日以内 | 封書、または代替品に同封する手紙 |
| 納期・お届けの遅れ | 遅れがわかった時点で連絡 | お届け時に同封、または到着後すぐ | 同封の手紙・一筆箋 |
| 接客・電話応対の不手際 | 当日中に電話でお詫び | 2〜3日以内 | 封書(軽微なものははがきでも可) |
| 請求金額・書類の誤り | 気づいた時点で連絡 | 正しい書類と一緒に | 送付状を兼ねたお詫び状 |
| 法人の取引先への重大な不手際 | 担当者・責任者が訪問または電話 | 訪問後、早めに | 社名入りの正式な封書 |
| 解決したあとのご挨拶 | ― | 解決から1〜2週間後 | はがき |
ここで目安にしたいのは、お客様が「まだ何も届かない」と感じる前に届けることです。書面の出来ばえを整えることに時間をかけすぎて数日が過ぎるより、短くても誠実な手紙を早く出すほうが、気持ちは伝わります。
なお、お詫び状は「自分の側に非があることが明らかなとき」に出すものです。原因がはっきりしない段階や、責任の所在を話し合っている最中に書面で全面的に謝ると、後々の話し合いに影響することがあります。事実関係を確認しているあいだは、「ご不便をおかけしていることへのお詫び」と「確認中であること」を伝えるにとどめるのが無難です。法人間の契約や補償が関わる場合は、社内の責任者や専門家に相談してから出しましょう。
言い訳に見えないお詫び状の基本構成
お詫び状が言い訳がましく見えてしまう原因の多くは、経緯の説明がお詫びより先に来ることと、説明が長すぎることです。次の順番で書くと、誠意が伝わり、必要な情報も漏れません。
1. お詫び:最初にはっきり謝る。前置きを長くしない
2. 何が起きたか:お客様にどんなご迷惑をかけたのかを、こちらの言葉で具体的に書く
3. 原因:一〜二文で簡潔に。他人や状況のせいにしない
4. 対応:すでに行ったこと、これから行うこと(代替品の発送、返金、日程など)
5. 再発防止:何をどう変えるのか
6. 結び:改めてのお詫びと、今後もお付き合いいただきたいというお願い
ポイントは2の「何が起きたか」を、お客様の立場で書くことです。「弊社の確認不足により誤った商品が発送されました」ではなく、「せっかくご注文いただいたのに、違う商品がお手元に届き、お手を煩わせてしまいました」と書くと、お客様の感じた不便をわかっていることが伝わります。
また、原因の説明では「担当者が」「繁忙期で」「配送業者が」といった言葉を避けます。たとえ事実でも、お客様から見れば会社やお店の責任です。主語は「私ども」「当店」にそろえましょう。
お詫び状の書き出しと結びの決まりごと
正式なお詫び状は「拝啓」または「謹啓」で始め、「敬具」「謹白」で結びます。このとき、時候の挨拶は省くか、ごく短くするのが一般的です。季節の話題から入ると、「お詫びより挨拶を優先している」と受け取られかねないためです。
反対に「前略」は、前文を省いて急ぎの用件だけを伝える略式の書き方です。お詫びの場面では軽い印象になるため、目上の方や取引先には避けたほうが安心です。
個人のお客様に、お店から手紙を出す場合は、頭語・結語を使わずに「このたびは〜」から書き始めても失礼にはなりません。お店とお客様の普段の距離感に合わせて選びましょう。
お客様へのお詫び状の例文【場面別】
ここからは、そのまま使える例文を場面別に紹介します。〇〇の部分を書き換えてお使いください。
発送ミス・違う商品が届いたとき
このたびは、ご注文の品とは異なる商品をお届けしてしまい、誠に申し訳ございませんでした。
楽しみにお待ちいただいていたところ、お手を煩わせてしまいましたこと、心よりお詫び申し上げます。
原因は、出荷時の確認が不十分であったことによるものです。
正しい商品は〇月〇日に発送いたしました。お手元の商品は、同封の返送用伝票にてご返送いただければ幸いです(送料は当店にて負担いたします)。
今後は、出荷前の確認を二名で行うよう改め、再発防止に努めてまいります。
今後とも変わらぬお引き立てを賜りますよう、お願い申し上げます。
商品に不良・破損があったとき
このたびはお買い上げいただいた〇〇に破損があり、大変ご迷惑をおかけいたしました。深くお詫び申し上げます。
お知らせいただいた内容をもとに確認いたしましたところ、梱包の緩衝材が不足していたことがわかりました。
新しい商品を本日発送いたしましたので、ご査収くださいますようお願い申し上げます。
梱包の方法を見直し、同じことが起こらないよう努めてまいります。
ご丁寧にご連絡をくださいましたこと、重ねて御礼申し上げます。
最後の一文のように、知らせてくれたことへのお礼を添えると、お客様は「言ってよかった」と感じます。不満を伝えてくださるお客様は、黙って離れていくお客様よりも、お店に期待してくださっている方です。
納期・お届けが遅れたとき
このたびは、ご注文の〇〇のお届けが予定より遅れ、ご心配とご迷惑をおかけいたしましたこと、心よりお詫び申し上げます。
当店の在庫確認に誤りがあり、ご案内した日にお届けすることができませんでした。
本日ようやくお届けの運びとなりましたので、ご確認いただけましたら幸いです。
今後はご注文の時点で在庫を確かめてからお届け日をご案内するよう改めます。
お待ちいただいたことに、心より感謝申し上げます。
店舗・サロンでの接客の不手際
先日はご来店いただきながら、ご予約の確認に不手際があり、長くお待たせしてしまいましたこと、誠に申し訳ございませんでした。
せっかくのお時間を無駄にさせてしまい、スタッフ一同、深く反省しております。
予約の管理方法を見直し、同じことが起こらないよう努めてまいります。
至らぬ点の多い店ではございますが、またお顔を拝見できましたら、心を込めておもてなしいたします。
電話応対・言葉づかいへのご指摘
このたびは、お電話の際に当店スタッフが失礼な応対をいたしましたこと、心よりお詫び申し上げます。
ご不快な思いをおかけしたにもかかわらず、率直にお知らせくださいましたこと、ありがたく受け止めております。
本人とも話し合い、全員で応対の基本を確認し直しました。
今後このようなことがないよう、努めてまいります。
接客や応対へのご指摘では、「担当者には厳しく注意いたしました」と書きたくなりますが、お客様は誰かが叱られることを望んでいるわけではありません。お店としてどう変えたかを伝えるほうが、誠実に響きます。
請求金額・書類の誤り
このたびは、〇月分のご請求書に誤りがあり、ご迷惑をおかけいたしましたこと、深くお詫び申し上げます。
正しいご請求書を同封いたしましたので、お手数ですが、先にお送りした請求書は破棄していただけますようお願い申し上げます。
今後は発行前の確認を徹底し、このような誤りのないよう努めてまいります。
法人の取引先へのお詫び状(正式な文書)
謹啓 平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、このたびは弊社の不手際により、〇月〇日納品予定の〇〇が遅延し、貴社に多大なるご迷惑をおかけいたしましたこと、心より深くお詫び申し上げます。
原因を調査いたしましたところ、弊社の生産計画の確認に不備があったことが判明いたしました。
現在は〇月〇日の納品に向けて手配を進めており、以後は工程ごとの確認体制を改め、再発防止に全力を尽くしてまいります。
本来であれば拝眉のうえお詫び申し上げるべきところ、略儀ながら書中をもってお詫び申し上げます。
今後とも変わらぬご厚誼を賜りますよう、伏してお願い申し上げます。
謹白
法人宛ての場合は、日付・社名・代表者または責任者名を入れ、宛名は「〇〇株式会社 〇〇部 〇〇様」のように正式に書きます。敬称の使い分けは宛名の書き方 ビジネス編で詳しく紹介しています。
お詫びで避けたい言葉と書き方
丁寧に書いたつもりでも、言葉選びひとつで印象が変わってしまうことがあります。よく見かける例をまとめました。
| 避けたい書き方 | 受け取られ方 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 「ご迷惑をおかけしたとしたら」 | 迷惑をかけた自覚がないように見える | 「ご迷惑をおかけし」 |
| 「担当者の不注意により」 | 個人のせいにしている | 「私どもの確認不足により」 |
| 「繁忙期のため」「人手不足で」 | 言い訳に聞こえる | 原因は簡潔に、対策を具体的に |
| 「誤解を招いたようで」 | 相手の受け取り方の問題にしている | 「わかりにくいご案内をし」 |
| 「今後気をつけます」 | 何も変わらない印象 | 「出荷前の確認を二名で行うよう改めます」 |
| 「すみませんでした」 | 軽い | 「申し訳ございませんでした」 |
| 長い追伸 | ついでの印象、話を蒸し返す | 伝えたいことは本文に入れる |
特に気をつけたいのが「今後気をつけます」のような抽象的な再発防止です。お客様が知りたいのは「同じことがまた起きないか」です。誰が、いつ、何を変えるのかを一つでも具体的に書くと、文章全体の信頼感が大きく変わります。
また、お詫び状には商品の宣伝や新しいキャンペーンの案内を同封しないのが鉄則です。お詫びの気持ちが「次の売り込みのため」と受け取られてしまいます。
お詫び状は封書?はがき?使い分けの考え方
一般に、お詫び状は封書が基本とされています。はがきは文面が配達の途中で誰の目にも触れるため、お客様の個人的な事情やトラブルの内容を書くのには向きません。金額や補償の内容が関わる場合も封書にしましょう。
一方で、はがきが向いている場面もあります。
- 予約時間の行き違いなど、軽微な不手際について、電話でお詫びしたあとに改めて気持ちを伝えるとき
- 代替品の発送などがすべて済み、問題が解決したあとに「その後」のご挨拶をするとき
- 来店をお待たせしてしまったお客様に、次回のご来店をお待ちしていることを伝えるとき
つまり、「事実を伝えるお詫び」は封書、「関係をつなぎ直す一枚」ははがきと考えるとわかりやすいでしょう。
手書きにするかどうか
お詫び状は、できれば手書きがよいとされています。法人向けの正式な文書は印刷でも構いませんが、その場合も署名と一言だけは手書きで添えると、印象がやわらぎます。
手書きで書き損じたときは、修正液や二重線で直さず、新しい用紙に書き直します。お詫びの手紙に訂正の跡があると、「急いで済ませた」と受け取られかねません。手書きの文字が伝える誠実さについては、手書きのはがきが伝えるものでもお話ししています。
プロの視点:お詫びのあとに届ける「その後の一枚」
ここからは、はがきで顧客フォローを続けてきた立場からお伝えしたいことです。
多くのお店や会社は、お詫びを「問題が解決したら終わり」と考えます。代替品を送り、返金を済ませ、お詫び状を出して一件落着。けれども、お客様の心の中では、そこで話が止まっているわけではありません。最後に受け取ったのが「お詫び状」のままだと、お店の記憶は「トラブルがあった店」で止まってしまうのです。
そこで勧めたいのが、問題が解決して1〜2週間ほど経ったころに、改めてはがきを一枚届けることです。お詫びを繰り返すのではなく、「その後いかがですか」と様子をうかがい、お付き合いを続けたいという気持ちを伝えます。
先日はご迷惑をおかけしたにもかかわらず、温かいお言葉をいただき、ありがとうございました。
お届けした〇〇は、その後お使いいただけておりますでしょうか。
何かお気づきの点がございましたら、どうぞお気軽にお声がけください。
朝晩冷え込む季節となりました。どうぞご自愛くださいませ。
先日はお待たせしてしまい、申し訳ございませんでした。
改めてご来店いただき、本当にありがとうございました。
スタッフ一同、またお会いできる日を楽しみにしております。
この一枚は、お客様の記憶の最後のページを「トラブル」から「その後も気にかけてくれた店」に書き換えてくれます。トラブルにきちんと対応してもらえたお客様が、かえってお店を信頼するようになることは、接客の現場では昔からよく知られています。もちろん必ずそうなるとは言えませんが、少なくとも、何もしないまま疎遠になるよりも、関係をつなぎ直すきっかけにはなります。
ポイントは三つです。
- お詫びの言葉は一言で十分:何度も謝ると、かえってトラブルを思い出させてしまいます
- 売り込みはしない:割引券やキャンペーンの案内は入れず、気持ちだけを届けます
- 季節のひと言を添える:普段のお便りと同じ形にすることで、「いつものお付き合い」に戻ったことが伝わります
このとき使うはがきは、お詫び状とは違い、穏やかな絵柄のものでも構いません。むしろ白無地の事務的なはがきより、空や木々など、やさしい風景の柄のほうが、気持ちをやわらかく伝えてくれます。
そしてもう一つ。そのお客様には、季節のご挨拶やお礼状など、普段のお便りを変わらず続けることです。しばらく足が遠のいたお客様へのお便りの書き方は、休眠顧客の掘り起こしは「はがき」からでも紹介しています。
お詫びのはがきを書くときの実務のポイント
最後に、はがきでお詫びやその後のご挨拶を送るときの実務的なポイントをまとめます。
書く分量と文字の大きさ
はがきに書くお詫びやご挨拶は、5〜7行程度に収めるのが読みやすい分量です。ぎっしり書くと、かえって読む側の負担になります。言葉を尽くすべき内容なら、はがきではなく封書を選びましょう。文面の組み立て方ははがきの書き方 ビジネス編で詳しく紹介しています。
柄の選び方
その後のご挨拶に絵はがきを使うなら、次のような柄が向いています。
- 季節を問わない、空や草原、木々などの風景
- 落ち着いた色合いで、文字が書き込みやすいもの
- お店の雰囲気に合い、普段のお便りにも使えるもの
避けたいのは、派手な色合い、キャラクター、季節の行事を強く打ち出した柄(クリスマスやハロウィンなど)です。楽しげすぎる柄は、お詫びの気持ちと噛み合いません。
使うなら、たとえば草原と青空は季節を選ばず、気持ちを静かに伝えてくれる柄です。この木なんの木のように、大きな木が描かれた柄は、「これからも変わらずに」という気持ちと重ねやすく、お付き合いを続けたいという一枚によく合います。
準備しておくと慌てない
お詫びの場面は、いつ訪れるかわかりません。そのときになってはがきを探すと、どうしても手元にある不似合いな柄で済ませてしまいがちです。普段のお礼状や季節のご挨拶と兼ねて、落ち着いた柄を何種類か常備しておくと安心です。
はがきDoのポストカードは同じ柄100枚単位の販売で、100枚3,960円(1枚39.6円)、300枚8,250円(1枚27.5円)、500枚10,450円(1枚20.9円)と、まとめるほど1枚あたりの単価が下がります。違う柄を組み合わせても合計枚数で単価が決まりますので、お礼状用の柄と落ち着いた風景の柄を組み合わせて揃えておくこともできます。詳しくはまとめ買いの料金をご覧ください。
ポストカードは通常はがきと同じく85円の切手で送れます(2024年10月からの料金です)。宛名面に店名・住所・電話番号を印刷しておけば、お客様がすぐに連絡できる形で届けられます。差出人のデザインは宛名面の差出人デザイン作成・プリント代行(1枚30円)でもお受けしています。
問題が解決したあとのお礼には、お客様へのお礼状はがき 文例集の例文もあわせてお使いください。
お詫びのあとのご挨拶におすすめの柄
お詫びのあとに届ける「その後の一枚」には、季節を選ばず、穏やかな気持ちが伝わる風景の柄が向いています。普段のお礼状と兼ねて使える柄を選んでおくと、いざというときにも慌てません。
よくある質問
- お詫び状はいつまでに出せばよいですか?
- できるだけ早く、目安としては電話やメールでお詫びをしてから1〜3日以内です。代替品や正しい書類を送る場合は、それに同封するのがもっとも早く確実です。文章の出来ばえを整えるより、早く届けることを優先しましょう。
- お詫び状をはがきで送るのは失礼ですか?
- トラブルの内容や個人的な事情、金額が関わる場合は、人目に触れない封書が基本です。予約の行き違いのような軽微な不手際について電話でお詫びしたあとや、問題が解決したあとの「その後」のご挨拶には、はがきが向いています。
- お詫び状に時候の挨拶は入れますか?
- 正式な文書では「拝啓」「謹啓」で始めますが、時候の挨拶は省くか、ごく短くするのが一般的です。季節の話題から入ると、お詫びより挨拶を優先している印象になるためです。個人のお客様には「このたびは〜」から書き始めても構いません。
- お詫び状に原因はどこまで書けばよいですか?
- 一〜二文で簡潔に書くのがよいでしょう。経緯を長く説明すると言い訳に見えてしまいます。原因よりも、すでに行った対応と、具体的な再発防止策に言葉を使うほうが、誠意が伝わります。
- お詫びのあと、お客様に普段どおりのお便りを送ってもよいですか?
- 問題が解決していれば、むしろ続けることをおすすめします。お詫びを最後のお便りにしてしまうと、お客様の記憶が「トラブルがあった店」で止まってしまいます。お詫びは一言にとどめ、季節のご挨拶など普段の形に戻すと、お付き合いを続けたい気持ちが伝わります。






