お礼状やご案内のはがきを書いていて、本文は書けたのに「最後をどう締めればいいか」で手が止まったことはないでしょうか。
結びの言葉は、手紙を読み終えた相手の心に最後に残る一行です。それなのに、つい「よろしくお願いします」だけで終わらせてしまいがちな部分でもあります。
この記事では、ビジネスのはがき・手紙で使える結びの言葉を、用途別・季節別の一覧にまとめました。「結び」と「結語(敬具など)」の違いや、意外と間違えやすい言い回しもあわせてご紹介します。
はがきでお客様へのお便りを続けてきた専門店として、限られた文面でも気持ちが伝わる「短い結び」と、定型文に一言足して手書きらしさを出すコツもお伝えします。
結びの言葉とは?「結び」と「結語」の違い
手紙の最後には、二つの「締め」があります。一つは本文を締めくくる文章としての「結びの言葉(末文)」、もう一つは「敬具」「草々」などの「結語」です。この二つは混同されやすいのですが、役割が違います。
ビジネスの手紙は、一般に次の順で書きます。
| 順番 | 名前 | 内容の例 |
|---|---|---|
| 1 | 頭語 | 拝啓 |
| 2 | 時候の挨拶・安否の挨拶 | 晩秋の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます |
| 3 | 本文(主文) | さて、このたびは~ |
| 4 | 結びの言葉(末文) | 今後とも変わらぬお引き立てのほど、よろしくお願い申し上げます |
| 5 | 結語 | 敬具 |
| 6 | 後付け | 日付・差出人名 |
この記事で扱うのは、4番目の「結びの言葉」です。結びの言葉は、おおむね次の三つの要素のどれか、または組み合わせでできています。
- 相手を気づかう:「時節柄どうぞご自愛ください」
- 相手の繁栄・幸せを祈る:「貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます」
- 今後のお付き合いをお願いする・用件をまとめる:「今後ともよろしくお願い申し上げます」「まずは書中にて御礼申し上げます」
あらたまった手紙では、「用件のまとめ」と「気づかい」や「繁栄を祈る言葉」を二文ほど重ねて結ぶと、収まりがよくなります。
頭語と結語は組み合わせが決まっています。結語を選ぶときは、次の対応を確認してください。
- 拝啓 → 敬具(一般的な手紙)
- 謹啓 → 謹白・敬白(特にあらたまった手紙)
- 前略 → 草々(時候の挨拶を省くとき)
- 頭語なし → 結語なし、または女性なら「かしこ」
はがき全体の構成や、縦書き・横書きの基本ははがきの書き方 ビジネス編で詳しく説明しています。
用途別 結びの言葉一覧|お礼・お願い・お詫び・案内
結びの言葉は、手紙の用件に合わせて選ぶのが基本です。まずは用途ごとに、ビジネスでよく使う結びをまとめました。
| 用途 | 結びの言葉の例 |
|---|---|
| お礼 | まずは略儀ながら書中をもちまして御礼申し上げます |
| お礼(個人のお客様) | 本当にありがとうございました。心より感謝申し上げます |
| お願い・依頼 | ご多用中誠に恐縮ですが、何卒よろしくお願い申し上げます |
| 返事を求める | お手数ですが、○月○日までにご返事をいただけますと幸いです |
| お詫び | 今後このようなことのないよう、十分に注意してまいります。まずは書面にてお詫び申し上げます |
| 案内・お知らせ | ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください |
| 招待 | 皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております |
| お祝い | 今後ますますのご活躍をお祈り申し上げます |
| お見舞い | 一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます |
| 今後のお付き合い | 今後とも変わらぬお引き立てのほど、よろしくお願い申し上げます |
ここからは、用途ごとに、そのまま使える結びの文例をご紹介します。
お礼の結び
取引先へのあらたまったお礼状なら、用件のまとめと今後のお願いを重ねます。
今後とも変わらぬご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
まずは略儀ながら書中をもちまして御礼申し上げます。
個人のお客様へのお礼のはがきなら、もう少しやわらかく結びます。
またお近くにお越しの際は、お気軽にお立ち寄りください。
心よりお待ちしております。
お礼状全体の書き方や、初回来店・ご成約・ご紹介など場面別の文例は、お客様へのお礼状はがき 文例集にまとめています。
お願い・返事を求めるときの結び
お願いごとの結びは、相手の手間に配慮する「クッション言葉」を添えると、印象がやわらぎます。
ご多用中のところ誠に恐縮ではございますが、
ご検討のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
お手数をおかけいたしますが、同封のはがきにて○月○日までにご返信いただけますと幸いです。
お詫びの結び
お詫びの手紙では、結びで今後の姿勢を示します。体を気づかう言葉や季節の話題は、お詫びの気持ちを軽く見せてしまうことがあるので控えめにします。
今後は二度とこのようなことのないよう、社員一同、細心の注意を払ってまいります。
まずは書中にて、心よりお詫び申し上げます。
お詫び状の構成や、はがきと手紙の使い分けは、お詫び状の例文 お客様向けで詳しくご紹介しています。
案内・お知らせの結び
イベントや新商品のご案内では、相手が次に何をすればよいかがわかる結びにします。
ご来場を心よりお待ちしております。
ご不明な点がございましたら、担当の○○までお気軽にお問い合わせください。
相手別 結びの言葉|取引先・個人のお客様・目上の方
同じ用件でも、相手によって結びの言葉の「かたさ」を変えると、手紙全体の印象がそろいます。
取引先(会社あて)
会社あての手紙では、「貴社」の発展と、「皆様」の健康を祈る言葉がよく使われます。
末筆ながら、貴社のますますのご発展と皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。
「末筆ながら(まっぴつながら)」は、「最後になりましたが」という意味の前置きです。結びの一文目に添えると、手紙らしいあらたまった響きになります。
個人のお客様
個人のお客様には、漢語より話し言葉に近い言い回しの方が、気持ちがまっすぐ届きます。
季節の変わり目ですので、どうぞお体を大切にお過ごしください。
○○様とご家族の皆様が、健やかに過ごされますようお祈りしております。
目上の方・恩師
お世話になった方や目上の方には、変わらぬ指導をお願いする結びがよく合います。
今後とも変わらぬご指導を賜りますよう、お願い申し上げます。
時節柄、くれぐれもご自愛くださいませ。
季節別 結びの言葉一覧|1月〜12月
結びに季節の言葉を入れると、定型文でも「この季節に、あなたに書いた手紙」という温かさが生まれます。月ごとに使いやすい結びをまとめました。
| 月 | 結びの言葉の例 |
|---|---|
| 1月 | 寒さ厳しき折、どうぞご自愛ください |
| 2月 | 余寒なお厳しき折、くれぐれもお体を大切になさってください |
| 3月 | 春とはいえ寒暖の差が大きい時期です。どうぞお健やかにお過ごしください |
| 4月 | 新年度を迎え、ますますのご活躍をお祈り申し上げます |
| 5月 | 風薫る季節、皆様のご健勝をお祈りいたします |
| 6月 | 梅雨寒の折、体調を崩されませぬようお気をつけください |
| 7月 | 暑さ厳しき折、くれぐれもご自愛ください |
| 8月 | 残暑なお厳しき折、どうぞお体を大切にお過ごしください |
| 9月 | 朝夕しのぎやすくなりましたが、夏の疲れが出ませぬようご自愛ください |
| 10月 | 実りの秋、皆様にとって充実した日々となりますようお祈り申し上げます |
| 11月 | 日ごとに寒さが増してまいります。どうぞ暖かくしてお過ごしください |
| 12月 | 年末に向けご多忙の折、くれぐれもお体を大切になさってください |
結びに季節の言葉を使うときは、書き出しの時候の挨拶と同じ言葉を繰り返さないようにします。書き出しで「残暑の候」と書いたなら、結びは「暑さ厳しき折」ではなく「夏の疲れが出ませぬよう」と言い換えると、すっきりした文面になります。
月ごとの書き出しの言葉や、上旬・中旬・下旬の使い分けは、11月の時候の挨拶、12月の時候の挨拶などの月別記事で詳しくまとめています。
はがき向けの短い結び|定型文に一言足すと手書き感が出る
はがきは、手紙に比べて書ける文字数が限られます。個人のお客様へのはがきなら、「拝啓」「敬具」や長い末文を省き、一行か二行で結んで差し支えありません。
はがきに向く、短い結びの言葉を集めました。
- どうぞお元気でお過ごしください。
- またお会いできる日を楽しみにしております。
- お近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。
- 季節の変わり目、どうぞご自愛ください。
- これからもどうぞよろしくお願いいたします。
ただ、こうした短い結びは、そのままだと「誰にでも書ける一文」になってしまいます。そこでおすすめしたいのが、定型の結びの前に、その方だけに向けた一言を足すことです。
先日お話しされていたお孫さんの運動会、晴れるといいですね。
季節の変わり目、どうぞご自愛ください。
新しいメガネ、お仕事の書類が見やすくなっていればうれしいです。
またお近くにお越しの際は、お気軽にお立ち寄りください。
一行目は、その方との会話やご購入の内容を思い出して書く「個別の一言」、二行目は定型の結びです。定型文は印刷やスタンプで済ませても、この一言だけを手書きにすれば、受け取った方には「自分のために書いてくれた」ことがきちんと伝わります。
一言の長さは、20〜30文字ほどで十分です。短い一言がなぜ効くのかは、なぜ手書きはがきのメッセージは「30文字」なのかでもお伝えしています。
意外と知られていない、結びの言葉の4つの落とし穴
結びの言葉には、よく使われているのに、実は気をつけたい言い回しがあります。はがきを書き続けてきた中で、特に多いものを四つご紹介します。
1. 「お体をご自愛ください」は重ね言葉
「自愛」には「自分の体を大切にする」という意味がすでに含まれています。そのため、「お体をご自愛ください」と書くと、意味が重なってしまいます。
正しくは「どうぞご自愛ください」「くれぐれもご自愛ください」です。「お体」を使いたいときは、「お体を大切になさってください」と言い換えましょう。
2. 「取り急ぎ」で結ぶと、目上の方には素っ気なく映ることも
「取り急ぎお礼まで」は便利な結びですが、「急いでいるので略式で失礼します」という意味の言葉です。メールの即日のお礼なら問題ありませんが、時間をかけて書くはがきや手紙で使うと、かえって雑な印象を与えることがあります。
はがきでお礼を伝えるなら、「まずは略儀ながら書中にて御礼申し上げます」と書く方が自然です。「略儀ながら」は、「本来ならお伺いしてお伝えすべきところ、書面で失礼します」という気持ちを表す言葉です。
3. 「お祈り申し上げます」の多用
「ご健勝をお祈り申し上げます」「ご発展をお祈り申し上げます」は丁寧で使いやすい結びですが、一通の中で二度、三度と重なると、決まり文句を並べただけの印象になります。祈る言葉は一通に一回までと決め、ほかは「願っております」「楽しみにしております」などに言い換えるとよいでしょう。
4. 結語を書き忘れる・組み合わせを間違える
「拝啓」で書き始めたのに、結びの言葉のあとに「敬具」を書き忘れるケースは意外と多いものです。また、時候の挨拶を省く「前略」に「敬具」を合わせるのも、組み合わせとしては誤りです。「前略」なら「草々」で結びます。
迷ったら、頭語と結語をどちらも省き、季節の一行から書き始めて短い結びで終える「はがきの書き方」にするのも一つの方法です。個人のお客様あてなら、それで失礼にはなりません。
プロの視点:結びは「次につながる一行」にする
お客様へのはがきを長く続けてきて感じるのは、結びの言葉は「手紙の締めくくり」であると同時に、「次のお付き合いへの入り口」でもあるということです。
たとえば、同じご来店のお礼でも、結びが次の二通りでは、受け取った方の気持ちが少し変わります。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
春の新作が入りましたら、またご案内させてくださいね。
一つ目は丁寧ですが、読み終わるとそこで手紙が閉じてしまいます。二つ目は、「次にまた連絡がある」「また行ってもいい」という小さな約束が残ります。
お客様は、満足しても、何もなければ少しずつお店のことを忘れていきます。結びに「次」を一行添えておくと、次のお便りやご来店が自然な流れになります。営業やお店のはがきで使いやすい「次につながる結び」をいくつかご紹介します。
冬物が入荷しましたら、いちばんにご連絡いたします。
次回の定期点検の時期が近づきましたら、改めてご案内させていただきます。
お使いになってみて気になる点がありましたら、いつでもお声がけください。
ポイントは、「次の予定」か「いつでも相談してよいこと」のどちらかを、押しつけにならない言い方で示すことです。売り込みの一言ではなく、「またご連絡してもいいですか」という気持ちを結びに込めるイメージです。
結びの言葉が映える、おすすめの柄
結びの言葉は、絵はがきの柄と合わせて考えると、短い文面でも気持ちが伝わりやすくなります。
たとえば「ご縁に感謝」「ありがとう」の気持ちで結ぶお礼状なら、書家の文字をあしらった感謝・彩むすび書のような柄がよく合います。柄そのものがお礼の言葉になるので、文面は「個別の一言」と短い結びだけで十分です。
季節を問わず、取引先にも個人のお客様にも使いやすいのは、この木なんの木や草原と青空のような風景の柄です。「どうぞお元気でお過ごしください」「これからもよろしくお願いいたします」といった、どの季節にも合う結びとよくなじみます。
季節の結びを使うなら、柄も季節に合わせると統一感が出ます。これからの時期なら、樹氷と雪景色は12月から2月まで長く使え、「寒さ厳しき折、どうぞご自愛ください」という結びと自然に響き合います。
はがきDoの絵はがきは、同じ柄100枚単位でのご購入です。違う柄を組み合わせても合計枚数で単価が決まるので、通年で使える柄と季節の柄を組み合わせて用意しておくと、どの時期でもすぐにお便りを出せます。枚数ごとの料金はまとめ買いの料金をご覧ください。
感謝・彩むすび書100枚 3,960円(税込)〜
ありがとう・彩むすび書100枚 3,960円(税込)〜
この木なんの木100枚 3,960円(税込)〜
草原と青空100枚 3,960円(税込)〜
花瓶四つ葉のクローバー100枚 3,960円(税込)〜
ピンクの花瓶のバラ100枚 3,960円(税込)〜
樹氷と雪景色100枚 3,960円(税込)〜
イチョウ並木100枚 3,960円(税込)〜
よくある質問
- 結びの言葉と結語の違いは何ですか?
- 結びの言葉は、本文の最後に置く「今後ともよろしくお願い申し上げます」「どうぞご自愛ください」といった締めくくりの文章です。結語は、そのあとに書く「敬具」「草々」などの言葉で、頭語(拝啓・前略など)と組み合わせが決まっています。
- 「お体をご自愛ください」は間違いですか?
- 「自愛」に「自分の体を大切にする」という意味が含まれているため、「お体を」と重ねるのは本来の使い方ではありません。「どうぞご自愛ください」とするか、「お体を大切になさってください」と言い換えるのがおすすめです。
- はがきでも「敬具」などの結語は必要ですか?
- 頭語の「拝啓」で書き始めた場合は、「敬具」で結ぶ必要があります。個人のお客様へのはがきなら、頭語と結語をどちらも省き、季節の一行から書き始めて短い結びで終えても失礼にはあたりません。
- 目上の方への結びに「取り急ぎお礼まで」は使えますか?
- 「取り急ぎ」は急ぎの略式であることを示す言葉なので、目上の方へのはがきや手紙では素っ気なく受け取られることがあります。「まずは略儀ながら書中にて御礼申し上げます」と書くと、丁寧な印象になります。


