家の売買や賃貸の契約が終わると、お客様との連絡はそこで途切れてしまいがちです。けれど不動産の仕事では、次のご依頼の多くが「あのときの担当者さん」への相談やご紹介から生まれます。
その「次」までの長い時間をつないでくれるのが、引き渡し後・入居後に届く一枚のはがきです。
この記事では、売買仲介・賃貸仲介・賃貸管理の場面ごとに、アフターフォローのはがきを送る時期の目安と、そのまま使える文例をまとめました。紹介につながる一言の書き方や、お客様が不安になる時期に先回りする考え方も、はがきで顧客フォローを続けてきた専門店の視点でご紹介します。
不動産のお客様に、引き渡し後こそはがきが効く理由
不動産の取引は、お客様にとって一生に数回あるかどうかの出来事です。だからこそ、契約までは担当者と何度も連絡を取り合っていたのに、引き渡しが終わった途端にぱったり音沙汰がなくなると、お客様は少し寂しさを感じるものです。
一方で、不動産会社にとっての「次のご依頼」は、何年も先にやってきます。
- 購入されたお客様の住み替え・売却の相談(10年、20年先のことも)
- 賃貸のお客様の次のお部屋探し、いずれ家を買うときの相談
- お客様のご家族・ご友人・職場の方からのご紹介
- ご実家の売却や相続した土地の相談
このとき、お客様がまず思い出すのは「あのとき親身になってくれた担当者」です。ところが、名刺は引き出しの奥にしまわれ、会社名も数年たてばおぼろげになります。思い出してもらえる状態を保つには、取引が終わった後も、年に数回、こちらから便りを届けておくことがいちばん確実です。
メールやLINEは手軽ですが、引き渡し後のお客様にとっては、営業の通知と同じ扱いになりやすいものです。はがきなら開かなくても文面が目に入り、新居の郵便受けに届いた一枚は、ご家族の目にも触れます。「担当の〇〇さん、まだ気にかけてくれているんだね」という会話が、ご紹介の小さなきっかけになります。
なお、内見のお礼やご契約のお礼など、契約前後の基本的な文例は保険・不動産営業のはがき活用ガイドにまとめています。この記事では、その先の引き渡し後・入居後のフォローに絞ってお話しします。
アフターフォローのはがきを送る時期の早見表
不動産のアフターフォローは、「いつ送るか」が文面以上に大切です。お客様の暮らしの節目に合わせると、自然な理由のある便りになります。
| 取引の種類 | 送る時期 | 便りの内容 |
|---|---|---|
| 売買(購入) | 引き渡し直後〜1週間 | お引き渡しのお礼 |
| 売買(購入) | 入居から約1か月 | 新生活の様子うかがい |
| 売買(購入) | 取得から半年前後 | 税の通知書が届くころのひと声 |
| 売買(購入) | 入居から1年 | 1周年のご挨拶、住み心地のうかがい |
| 売買(売却) | 決済・引き渡し後 | ご売却完了のお礼、新居での暮らしへのねぎらい |
| 賃貸(仲介) | 入居から約1か月 | 新生活の様子うかがい |
| 賃貸(仲介・管理) | 契約更新の数か月前 | 更新のご案内に添える一言 |
| 賃貸(仲介・管理) | 退去・お引っ越しのとき | 長くお住まいいただいたお礼 |
| 共通 | 年末・寒中・暑中など | 季節のご挨拶 |
すべてを送る必要はありません。まずは「引き渡し直後」「1か月」「1年」と季節のご挨拶から始め、慣れてきたら増やしていくと続けやすくなります。
【売買仲介】購入されたお客様へのはがき例文
ここからは、そのまま使える文例です。「〇〇」の部分をお客様に合わせて書き換えてお使いください。文面は印刷にして、お名前と最後の一言だけを手書きにしても、気持ちは十分に伝わります。
お引き渡し直後のお礼
〇〇様
このたびは新しいお住まいのお引き渡し、誠におめでとうございます。
物件探しから今日まで、〇〇様ご家族とご一緒できたことを、心からうれしく思っております。
お引っ越しの前後はなにかとお忙しいことと存じます。どうぞご無理なさいませんように。
住まいのことで気になることがございましたら、いつでもお気軽にご連絡ください。
入居から1か月の様子うかがい
〇〇様
新しいお住まいでの暮らしにも、少しずつ慣れてこられた頃でしょうか。
内見のとき、お子様がお庭を走り回っていた姿を今も思い出します。
暮らし始めてから気づくこともあるかと思います。ささいなことでも、どうぞお気軽にお声がけください。
入居1か月は、「ここのコンセントが足りない」「ごみの出し方がわからない」など、小さな困りごとが出てくる時期です。「ささいなことでも」と一言添えると、お客様は連絡しやすくなります。
入居から1年(1周年のご挨拶)
〇〇様
新しいお住まいにお引っ越しされて、ちょうど一年になりますね。
四季をひととおり過ごされて、住み心地はいかがでしょうか。
夏の暑さや冬の結露など、気になる点がございましたら、お気軽にご相談ください。
これからも、住まいの「かかりつけ」としてお役に立てれば幸いです。
1年たつと、お客様は「この家の一年」を一通り経験しています。住み心地をうかがう一言は、ご紹介の話が自然に出てくるきっかけにもなります。
ご売却されたお客様へのお礼
売主様は、引き渡しが終わると不動産会社との接点がなくなりがちです。しかし、相続した実家の売却や、親族の住み替えなど、次の相談が生まれやすいお客様でもあります。
〇〇様
このたびは、ご売却のお手続きが無事に完了いたしました。
長く大切にされてきたお住まいを私どもにお任せくださり、心より御礼申し上げます。
新しいお住まいでの暮らしが、穏やかで楽しいものとなりますようお祈りしております。
今後も、住まいのことでお役に立てることがございましたら、いつでもお声がけください。
思い出の詰まった家を手放した方には、事務的な「完了のご報告」ではなく、家への思いを受け止める一言を入れるのが大切です。相続にからむ売却のフォローについては事業承継・相続関連の営業には、はがきの活用が効果絶大もあわせてご覧ください。
購入を見送ったお客様へ
内見や商談を重ねたものの、今回は購入に至らなかったお客様にも、はがきは有効です。
〇〇様
先日はご検討に多くのお時間をいただき、誠にありがとうございました。
今回はご縁がございませんでしたが、〇〇様の理想のお住まいについて伺えたことは、私にとっても学びの多い時間でした。
また住まいのことをお考えになる時がございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。
断られた後に届く温かいはがきは、印象に残ります。数年後に「やっぱりあの人に」と連絡をいただくことも、決して珍しくありません。
【賃貸仲介・賃貸管理】入居者・オーナー様へのはがき例文
賃貸のお客様は、更新や住み替えのたびに会社を選び直す機会があります。だからこそ、ふだんからの便りが「次もここで」につながります。
入居から1か月(賃貸)
〇〇様
新しいお部屋での暮らしはいかがでしょうか。
新生活が始まって、なにかとお忙しい毎日のことと思います。
設備の使い方や、ご近所のことなど、わからないことがございましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。
契約更新のご案内に添える一言
更新のお知らせは書類で届くことが多いものです。その封筒にはがきを一枚添えるか、書類が届く少し前にはがきを送っておくと、事務的な通知の印象がやわらぎます。
〇〇様
いつも〇〇(物件名)にお住まいいただき、ありがとうございます。
早いもので、ご入居から間もなく2年になります。
近日中に更新のご案内をお送りいたしますので、ご確認いただけますと幸いです。
お住まいについてご要望などございましたら、この機会にお気軽にお聞かせください。
退去されるお客様へ
退去は「お別れ」ですが、次のお部屋探しや、いずれ家を買うときのご相談につながる大切な場面です。
〇〇様
このたびは、長らく〇〇(物件名)にお住まいいただき、誠にありがとうございました。
〇〇様のおかげで、お部屋もとてもきれいに使っていただきました。
新しい土地での暮らしが、実り多いものとなりますようお祈りしております。
またお住まいのことでお困りの際は、いつでもお声がけください。
管理物件のオーナー様へ(季節のご挨拶)
〇〇様
朝晩の冷え込みが感じられる季節となりました。
日頃より〇〇(物件名)の管理をお任せいただき、誠にありがとうございます。
先日の定期巡回では、植え込みの紅葉がきれいに色づいておりました。
寒さに向かう折、どうぞご自愛くださいませ。今後ともよろしくお願い申し上げます。
オーナー様への連絡は、空室や修繕の報告など用件のあるものが中心になりがちです。用件のない季節の便りに物件の小さな様子を一言添えると、「ちゃんと見てくれている」という安心感が伝わります。
プロの視点:お客様が「不安になる時期」に先回りする
ここで、はがきでフォローを続けてきた立場から、意外と知られていない視点をお伝えします。
家を買ったお客様は、引き渡しの後にも「これは何だろう」と不安になる郵便物をいくつか受け取ります。代表的なのが税金の通知です。
| 時期の目安 | お客様に届くもの | お客様の気持ち |
|---|---|---|
| 取得から数か月後(新築は翌年になることも) | 不動産取得税の納税通知書 | 「こんな税金があったの?」 |
| 入居の翌年1〜3月 | 住宅ローン控除のための確定申告の時期 | 「初めてで手続きがわからない」 |
| 入居の翌年の春〜初夏(市区町村による) | 固定資産税の納税通知書 | 「思ったより金額が大きい」 |
契約時に説明を受けていても、数か月たつとほとんどの方は忘れています。突然届いた通知書に驚いたとき、少し前に担当者から「そろそろ届く頃です」と便りが来ていたら、お客様の安心感はまったく違います。
〇〇様
新しいお住まいでの暮らしはいかがでしょうか。
お引き渡しから半年ほどたちましたので、そろそろ不動産取得税のお知らせが届く頃かと思い、お便りいたしました。
軽減の手続きや詳しい金額については、県税事務所や税理士さんにご確認いただくと安心です。
わからないことがございましたら、お気軽にご連絡ください。おつなぎいたします。
ポイントは、税額の計算や申告の仕方を、はがきで説明しようとしないことです。税の取り扱いはお客様の状況や地域によって異なり、具体的な判断は税務署・都道府県税事務所や税理士の領分です。はがきの役目は「そろそろ届きますよ」「困ったら相談先をご案内します」と、時期を知らせて背中を支えることにあります。
同じように、入居して初めての冬には結露、初めての梅雨には湿気やカビと、住まいの悩みも季節ごとにやってきます。お客様が困る少し前に便りを出す。これが、不動産のアフターフォローで信頼を積み重ねるいちばんの近道です。
紹介につながる一言の書き方
不動産会社にとって、ご紹介はなによりありがたいものです。ただ、はがきに「お知り合いをご紹介ください」と書くと、せっかくの温かい便りが、一気に営業のチラシのように見えてしまいます。
紹介は「お願い」するものではなく、お客様が紹介しやすい状態をつくるものと考えるのがコツです。
| 避けたい書き方 | 受け取る側の印象 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| お知り合いをご紹介ください | ノルマのために頼まれている気がする | 住まいのことでお困りの方がいらっしゃいましたら、お気軽にお声がけください |
| ご紹介いただければ特典を差し上げます | お礼目当てで紹介するようで気が引ける | (特典は書かない。紹介をいただいた後のお礼状で気持ちを伝える) |
| 売却をご検討の方はいませんか | 自分ではなく周りの情報を探られている | ご家族のお住まいのことも、どうぞお気軽にご相談ください |
紹介につながりやすいのは、具体的な場面を思い浮かべてもらえる一言です。
住み替えやご実家のことなど、ご家族やご友人がお住まいのことでお悩みの際は、どうぞ私の名前を思い出していただければうれしいです。
そして実際にご紹介をいただいたら、成約したかどうかに関係なく、すぐにお礼のはがきを送ります。紹介してくださった方は「迷惑をかけなかったか」と気にしているものです。
〇〇様
このたびは、〇〇様をご紹介くださり、誠にありがとうございました。
ご紹介いただいた方のお住まい探しを、精一杯お手伝いさせていただきます。
私を信頼してご紹介くださったお気持ちにお応えできるよう、努めてまいります。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
ご紹介のお礼状のほか、場面別のお礼状はお客様へのお礼状はがき 文例集で詳しくご紹介しています。
季節のご挨拶で、何年もつながり続ける
引き渡し後の節目のはがきが一段落したら、あとは季節のご挨拶で、ゆるやかにつながり続けます。不動産のお客様とのお付き合いは長期戦です。年に2〜4回、売り込みのない便りが届くだけで、10年後の住み替えのときに思い出してもらえる可能性はぐっと高まります。
- 年末〜年始:年賀状、または年賀状をやめた方には寒中見舞い
- 夏:暑中見舞い・残暑見舞い
- お誕生日や入居記念日:わかる方には、一言のお祝い
季節ごとの文面は年4回の季節のご挨拶はがき用・文章テンプレート集にまとめています。また、契約から何年も連絡していなかったお客様に改めて便りを出すときは、休眠顧客の掘り起こしは「はがき」からの考え方が参考になります。
続けるための仕組みづくり
忙しい不動産の現場で、はがきを続けるのは簡単ではありません。続けるための小さな工夫をご紹介します。
- 引き渡し日・入居日をカレンダーに登録する:1か月後、半年後、1年後の予定を契約時にまとめて入れておくと、送り忘れがなくなります
- 差出人面は印刷にする:会社名・担当者名・連絡先は毎回同じなので、印刷にしておけば書く手間が大きく減ります。差出人面のデザイン作成と印刷をまとめて任せたい場合は、宛名面の差出人デザイン作成・プリント代行(1枚30円)もご利用いただけます
- 手書きは最後の一言だけでよい:「お庭の桜は咲きましたか」など、そのお客様のことを覚えている一言が30文字ほどあれば十分です
絵柄で「住まい」の話題をつくる
不動産のお客様へのはがきには、明るく、空や木々を感じる風景の柄がよく合います。たとえば、どの季節にも使える草原と青空は、新生活の門出のお祝いにぴったりです。大きな木が枝を広げるこの木なんの木は、「この家で根を張って暮らしていかれますように」という気持ちを託せる柄です。秋のご挨拶ならイチョウ並木のような季節の風景も、書き出しの話題にしやすいでしょう。
はがきDoのポストカードは同じ柄100枚単位の販売で、枚数がまとまるほど1枚あたりの単価が下がります(100枚3,960円、300枚なら1枚27.5円)。違う柄を組み合わせても合計枚数で単価が決まりますので、通年で使える柄と季節の柄を組み合わせて揃えておくと便利です。詳しくはまとめ買いの料金をご覧ください。ポストカードは通常はがきと同じ85円の切手で送れます。
不動産のお客様へのはがきにおすすめの柄
新しい暮らしを始めたお客様には、青空や木々、季節の風景など、のびやかで明るい柄が喜ばれます。風景・自然の柄は年齢や性別を問わず使いやすく、ご家族で見ていただくはがきにも向いています。
菜の花と雪山100枚 3,960円(税込)〜
メジロと梅100枚 3,960円(税込)〜
河内藤園 藤のトンネル100枚 3,960円(税込)〜
紫陽花カーネーション100枚 3,960円(税込)〜
この木なんの木100枚 3,960円(税込)〜
草原と青空100枚 3,960円(税込)〜
富士山と茶畑100枚 3,960円(税込)〜
樹氷と雪景色100枚 3,960円(税込)〜
よくある質問
- 引き渡し後のはがきは、いつまで送り続ければよいですか?
- 期限を決める必要はありません。引き渡し直後・1か月・1年の節目を送ったら、その後は年に2〜4回の季節のご挨拶を続けるのがおすすめです。不動産の次のご相談は何年も先になることが多いため、細く長く続けることが大切です。
- はがきで紹介をお願いしてもよいですか?
- 「ご紹介ください」と直接お願いするより、「ご家族やご友人がお住まいのことでお悩みの際は、お気軽にお声がけください」のように、相談しやすい状態をつくる一言にとどめるのがおすすめです。売り込みの印象を与えずに、思い出していただくきっかけになります。
- 税金の通知について、はがきでどこまで書いてよいですか?
- 「そろそろ通知が届く頃です」と時期を知らせる程度にとどめましょう。税額や軽減の手続きはお客様の状況や地域によって異なるため、具体的な内容は都道府県税事務所・税務署や税理士に確認していただくよう案内するのが安心です。
- 賃貸のお客様にもはがきを送る意味はありますか?
- あります。賃貸のお客様は、更新や住み替えのたびに会社を選び直します。入居1か月の様子うかがいや、更新前の一言、退去時のお礼が届くと、「次もこの会社に相談しよう」と思っていただくきっかけになります。
- 全部手書きでないと気持ちは伝わりませんか?
- 本文や差出人は印刷にして、お客様のお名前と最後の一言だけを手書きにすれば十分です。一人ひとりのことを覚えている一言があれば、自分に宛てた便りだと伝わります。続けやすい形にすることを優先しましょう。




