世界一の営業マンは、「温度感」に投資していた ジョー・ジラード

世界一の営業マンは、「温度感」に投資していた

営業の神様が大切にしていたもの

営業の神様と呼ばれたジョー・ジラード氏。

車の販売でギネス記録を樹立し、年間1,450台という驚異的な販売台数を記録しました。

さらに、最高記録では1日18台も販売したと言われています。

これだけ聞くと、

「話術がすごかったんだろう。」
「クロージングが上手かったんだろう。」

と思うかもしれません。

しかし、彼が力を入れていたのは、意外にも「売ること」ではありませんでした。

それは、お客様との関係を育てること。

約12,000人もの顧客リストを管理し、毎月欠かさずカードや手紙を送り続けていたのです。

当時のアメリカでも、切手代だけでなく封筒や便せんなどの費用が掛かります。

決して安い取り組みではありません。

普通なら、

「そこまでコストは掛けられない。」

と考えるでしょう。

でも、ジョー・ジラード氏は違いました。

彼は、その費用を単なる販促費ではなく、お客様との関係を育てるための投資だと考えていたのです。

メールでは伝わらないものがある

実際、ジョー・ジラード氏は著書『営業の神様』の中で、こんな趣旨のことを書いています。

「顧客にメールを送るだけで相手を気に掛けていることを伝える

十分なコミュニケーションだと多くの現代人が考えてる。

いったい何の冗談だろう。

マクドナルドのドライブスルーで買ったハンバーガーを優雅なディナーというようなものだ。」

なかなか手厳しい表現ですが、私にはその言葉の意味がよく分かります。

もちろん、メールやLINEを否定しているわけではありません。

私も日常的に使っていますし、今の時代には欠かせないコミュニケーションツールです。

しかし、それだけでは伝わらないものがあります。

それが、相手を思う気持ちや、人のぬくもり、つまり「温度感」です。

だからこそジョー・ジラード氏は、毎月12,000人ものお客様へカードや手紙を送り続けたのでしょう。

そして彼は、こう語っています。

「キャリア後半では、売上の75%がリピーターだった。」

毎月届く一枚のカードや手紙が、お客様との温度感を保ち続けていた。

だから、キャリア後半では売上の75%がリピーターになったのです。

「温度感」とは何か

私はいつも、

営業とは商品を売ることではなく、お客様との温度感を保ち続けることだと思っています。

私が言う「温度感」とは、「売り込まれる距離感」ではなく、「困ったら相談したくなる距離感」のことです。

その温度感があるから、

困ったときに思い出してもらえる。

紹介したい人が現れたとき、真っ先に名前が浮かぶ。

だから、はがきは紙を送っているのではありません。

「あなたのことを忘れていませんよ。」

そんな温かいメッセージを届けているのです。

営業の神様が手紙を書き続けた理由も、きっとそこにあったのでしょう。

コストではなく、未来への投資

ここで私は考えます。

ジョー・ジラード氏は、約12,000人のお客様へ毎月カードや手紙を送り続けました。

もし、今の日本で手紙を送るとすれば、印刷代や郵送代などを含めて1通約300円ほど掛かるでしょう。

12,000人に毎月送り続けると、

300円 × 12,000人 × 12か月 = 年間4,320万円。

もちろん、これは現在の日本で私が試算した数字です。

でも、大切なのは金額ではありません。

このくらいの投資をしてでも、お客様との関係を維持する価値があると考えていたことです。

1枚300円の手紙を、

「高い」と考えるのか。

それとも、

未来のお客様との信頼を育てる投資と考えるのか。

営業の神様は、50年以上前から、その答えを実践で示していたのかもしれません。

私が考える「静の営業」

ここで、私自身が営業を通じて実感してきたことがあります。

私は、お客様にベタベタと営業はしません。

だからと言って、放ったらかしでもありません。

「何かあれば、いつでも気軽に声を掛けてくださいね。」

この距離感こそ、私が考える温度感です。

私の経験では、お客様が何か困ったとき、頭の中ではこんなことが起きています。

「名倉さんに相談してみよう。」

この瞬間が生まれることが、とても大切です。

ところが、

「でも、名倉さん忙しそうだし、やめておこう。」

と思われたら、その時点でアウトです。

逆に、

「これは名倉さんの専門外だけど、相談したら何とかしてくれそう。」

そう思っていただける関係になると、不思議なことが起こります。

困ったことがあれば相談をいただける。

相談が増えれば信頼が深まる。

そして、本当に必要になったときには、自然と仕事を任せていただけるのです。

だから私は、

できる営業マンほど、売ろうとしていない。

と思っています。

お客様との関係を育て続けた結果として、商品やサービスが選ばれているだけなのです。

これが、私がいつもお伝えしている「静の営業」です。

売り込む営業ではなく、

思い出してもらえる営業。

温度感を保ち続ける営業。

そんな営業こそが、長く選ばれ続ける営業なのではないでしょうか。

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