ビジネスに生かす「返報性の法則」

ビジネスに生かす「返報性の法則」 〜なぜ、手書きのはがきは効くのか〜

商売には、
昔から変わらない人の心理があります。

それが、「返報性(へんぽうせい)の法則」です。

人は、何かをしてもらうと、
“返したくなる”生き物です。

実はこの心理、
営業や販促でも、
ものすごく大きな力を持っています。

返報性には、4つある

返報性には、
大きく4つあります。

① 好意の返報性

相手から好意を受けると、
好意で返したくなる心理です。

例えば、
試食をもらうと、
つい商品を買いたくなる。
私も、スーパーでウインナーを試食すると、
つい買っちゃいます(笑)

これが代表例です。

商売で最も重要なのが、
この「好意の返報性」です。

② 敵意の返報性

人は、
嫌な態度を取られると、
嫌な感情で返します。

強引な営業を受けると、
その営業マンだけでなく、その会社ごと嫌になる。

これも返報性です。

つまり、
売り込みが強すぎると、
逆効果になることもあるのです。

③ 自己開示の返報性

相手が自分の話をしてくれると、
こちらも話したくなる心理です。

営業でも、
いきなり売り込むより、
先に自分のことを話す人の方が、
信頼されやすい。

人は、
「心を開いてくれた」と感じると、
自然と心を開きます。

④ 譲歩の返報性

相手が譲ってくれると、
こちらも譲りたくなる心理です。

例えば、

「本来ここまではしないんですが…」

と言われると、
こちらも歩み寄りたくなる。

値引き交渉などでも、
よく使われる心理です。

有名な「デニス・リーガンの実験」

この返報性を有名にしたのが、
心理学者・デニス・リーガン
の実験です。

実験では、
被験者に「絵画の評価」をしてもらいました。

その時、
もう一人の参加者がいたのですが、
実はその人は、
研究側が用意した“協力者”でした。

実験の途中、
その協力者が部屋を出ます。

そして戻ってきた時、
あるグループの人には、

「自分の分を買うついでに」

と言って、コーラを一本プレゼントしたのです。

もう一方のグループには、
何も渡しませんでした。

その後、協力者が被験者にこう頼みます。

「くじを売っているので、よかったら買ってほしい」

すると、
コーラをもらったグループは、
圧倒的に多く、くじを購入したのです。

しかも面白いのは、

被験者たちは、その協力者と、

特別仲が良かったわけではありません。

「好きな人だから買った」わけでもないのです。

ただ、“コーラを一本もらった”

それだけ。

それだけなのに、人は無意識に、

「何か返さないと」という気持ちになる。

つまり返報性は、

相手との深い関係がなくても働く、

とても強い心理なのです。

日本人は、“恩”を返そうとする民族

特に日本人は、
世界でもかなり「恩」を大切にする民族だと言われています。

「お世話になったから」
「気にかけてもらったから」
「覚えていてくれたから」

こういう感情に、強く反応します。

だから商売でも、

ただ安いだけでは、長く選ばれません。

「この人から買いたい」

そう思われる会社が、
結局、強いのです。

恩は、金額より“接触回数”

多くの人は、
恩は金額で決まると思っています。

でも実際は、
少し違います。

例えば今日、

Aさんから、
3万円の神戸牛が届いた。

Bさんからは、
手書きの絵はがきが一枚届いた。

その日だけなら、
Aさんの方が印象に残るでしょう。

でも――
時間が経つと、変わります。

Bさんが、
季節ごとに、
毎年はがきを送り続けてくれる人だったら。

「暑くなってきましたね」

「寒くなりましたね」

そんな短い言葉が、
2年、3年と届き続ける。

すると人は、
こう感じ始めます。

「いつも気にかけてくれる人」

「いつも思い出してくれる人」

になるのです。

つまり恩は、

金額ではなく、
接触回数で積み上がる。

そして、
時間で熟成していくのです。

だから、手書きのはがきが効く

ここが大事なポイントです。

手書きはがきは、
一枚の単価は高くありません。

でも、
“継続”ができる。

売り込みではなく、

「お元気ですか?」

たったそれだけでもいい。

その小さな接触が、
返報性を育てていきます。

しかも、
手書きには温度感があります。

メールやLINEは便利です。

ですが、
読まれたあと、
すぐ流れて消えていく。

早い。
便利。
効率的。

でも、
効率だけでは、
人の心は動きません。

一方、
手書きのはがきは残ります。

机に置かれたり、
冷蔵庫に貼られたりする。

時には、
何度も読み返されることもある。

なぜか。

そこに、
“人の気配”が残るからです。

文字のクセ。

書く人の間。

筆圧。

わざわざ書いてくれた時間。

手書きには、送り手の存在そのものが滲みます。

だから、
記憶に残る。

だから、
感情に残る。
それが、心地いい「温度感」となるのです。


デジタルは「情報」を、アナログ(手書き)は「感情」を届ける。

デジタルは「情報」を届ける。

アナログ(手書き)は「感情」を届ける。

デジタルは、用件を伝えるのは得意です。

でも、

「あなたを思い出していました」

は、伝わりにくい。

手書きは、
内容以上に、
“気持ち”が届く。

だから人は、
忘れないのです。

今の時代、
多くの会社が、
効率化を追いかけています。

AI。
自動化。
DX。

もちろん、
それ自体は悪いことではありません。

ですが、
効率化が進めば進むほど、
逆に人は、
“人間らしさ”に反応するようになります。

だから今、
手書きのはがきが、
逆に目立つのです。

手間が伝わる。

気持ちが伝わる。

「自分のために書いてくれた」

「この人はいつも気に掛けてくれている」が伝わる。

商売とは、
商品を売ることではなく、

「この人から買いたい」

を積み重ねること。

そしてその信頼は、
一度の大きな接触ではなく、
小さな気遣いの積み重ねで育っていきます。

だから、
手書きのはがきは効く。

それは、
古い販促だからではありません。

人間心理に、
ちゃんと合っているからです。

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